大判例

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東京家庭裁判所 昭和39年(家)2623号 審判

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔審判要旨〕養父となるべきアメリカ人の本国法が、配偶者の子を養子とする場合にも裁判所の養子決定をもつて要件としているときは、たとえ法廷地法たる日本法への反致が成立し、日本法を適用する場合であつても、その養子縁組の効力が本国法上も承認されるように考慮し、日本民法七九八条但書の適用を排除して家庭裁判所は許可の審判をすることを要するものというべく、しかもその場合には、養母となるべき日本人(実母)についても、養父となるべきアメリカ人とともに一体として許可審判をすることが必要である。

〔審判理由〕そこで、まず本件養子縁組許可事件の国際的裁判管轄権の有無につき案ずるに、未成年者正一はその出生以来今日まで日本に居住していることは上記認定のとおりであるから、その常住居所は日本にあるというべく、したがつて本件養子縁組につきわが国は適法な国際的裁判管轄権を有するものというべきである。

次に、法例一九条一項は、養子縁組の実質的成立要件は各当事者につきその本国法によると規定している。したがつて、申立人輝子及び未成年者正一についてはそれぞれ日本法によることになる。また申立人ジヨンについては、その本国たるアメリカ合衆国が不統一法国であるから法例二七条三項により同人のドミサイルの存するネフラスカ州法がその本国法ということになる。ところが、同州の(準)国際私法によれば養子縁組については法廷地法主義が採用されており、その管轄権は養親又は養子のドミサイルの存する国(州)の裁判所が原則として有するが、併せて養子の現実に居住している国(州)の裁判所も未成年者の利益幸福をはかるという観点から管轄権を有するものとされている。しかして、本件未成年者正一がその出生以来日本に居住し現実の生活を営んでいることは上述のとおりであるから、わが国は同州法上適法な管轄権を有するものということができる。したがつて本件養子縁組の準拠法は申立人ジヨンについても法例二九条により法廷地法たる日本法への反致が成立し、日本法を適用すべきことになる。

かくして本件養子縁組の成立要件についてはすべて日本法によることになる。

ところで、申立人輝子と未成年者正一との間には前述のように非嫡出母子関係があるから、本件養子縁組は申立人ジヨンについては配偶者の子を、申立人輝子については自己の子を養子とする場合に当るのであるが、日本民法七九八条但書によれば自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合には家庭裁判所の許可を要しないものとしているので、本件許可の申立は理由がないようにも考えられる。

けれども、申立人ジヨンの本国法たるネブラスカ州法は、配偶者の子を養子とする場合にも日本民法七九八条但書のような例外規定を認めず裁判所の養子決定をもつて養子縁組成立の要件としている。そして、このように本国法が養子縁組の成立に裁判所が関与すべきことを要求しているときは、たとえ法廷地法たる日本法への反致が成立し日本法を適用する場合であつても、わが国で成立した養子縁組が本国法上も有効に成立したものとして承認を受けることができるように考慮し、本国法における裁判所関与の要請を尊重し、日本民法七九八条但書の適用を排除して家庭裁判所は許可の審判をすることを要するものといわなければならない。しかも、家庭裁判所は許可の審判をするに当つて、配偶者のある者が養子をするときはそのような夫婦を一体としてみてそこに収養されることが未成年者の福祉に適うか否かを判断するのであり、それは配偶者の一方の子を養子とする場合にも同論であつて、この場合にのみ特に養親となる夫婦のうち配偶者の子を養子とする者と自己の子を養子とする者とを区別し、前者のみについて許可審判を要し、後者については許可審判を要しないものとする理由はないから、(民法七九五条参照)結局本件申立人両名について一体として許可審判をなすことが必要である。(加藤令造)

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